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エンジニア採用の課題とは?採用難の時代に見直すべき人材戦略

目次

エンジニア採用の課題は、求人票の改善や採用手法の見直しだけでは解消しないものが増えています。採用活動の内側を磨くことと、採用そのものの限界を認識することは、別の話です。

エンジニア採用で課題が増えている理由

エンジニア採用が難しくなっているのは、採用担当者のスキル不足や努力不足ではありません。採用を取り巻く環境そのものが変化しているためです。

採用競争が激化している

厚生労働省「一般職業紹介状況」によれば、エンジニアを含む情報処理・通信技術者の求人倍率は全職種平均を大きく上回る水準が続いています※1。同じ採用市場の中で、多くの企業が同じ人材を奪い合っている状況です。採用チャネルを増やし、求人票の訴求力を高めても、供給量そのものが不足している状況では、確保できる人材の絶対数に限りがあります。

求める技術人材が高度化している

AIやクラウド、セキュリティ、データエンジニアリングといった領域での専門性を持つ人材への需要は高まる一方で、採用市場におけるそうした人材の供給は追いついていません。かつては「Webエンジニアが欲しい」という要件で採用できていた企業も、いまは特定の技術スタックや専門領域を指定した要件へと移行しており、採用の難易度はスキルが高度化するほど上昇します。

採用手法だけでは差別化しにくい

スカウト媒体、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用、技術ブログによるブランディングなど、採用手法の選択肢は増えています。しかし、同じ手法を多くの企業が活用するようになるにつれて、手法そのものによる差別化はしにくくなっています。候補者が複数企業から同時にアプローチを受ける中で、採用の巧拙が結果を大きく左右する一方で、採用手法の工夫だけで構造的な供給不足を補うことには限界があります。

エンジニア採用で起こりやすい課題

採用活動の現場では、複数の課題が積み重なって発生することが多くなっています。

母集団形成が難しい

エンジニア採用における最初の壁は、そもそも求める人材に応募してもらえないことです。求人票を出しても応募が集まらない、あるいは応募はあっても求める技術要件を満たす候補者がいない、という状況は珍しくありません。

70%以上の企業が母集団形成に課題を感じているという調査結果もあり※2、採用活動の起点における困難は広く共有されています。特にエンジニア採用では、知名度や待遇で大手企業に劣後しやすい中堅・成長企業ほど、この壁は高くなりがちです。

技術力を正しく見極められない

候補者が応募してきても、その技術力や専門性を適切に評価できないケースがあります。人事担当者だけで選考を進めると、スキルレベルの見極めが甘くなりやすく、現場エンジニアが選考に関与していなければ、採用後に「思っていたスキルと違った」というミスマッチが起きやすくなります。

技術面接の設計や評価基準の整備が、採用の精度を左右します。

選考途中で辞退される

内定を出しても承諾されない、あるいは選考の途中で別の企業に決まってしまうという辞退は、エンジニア採用では頻繁に起きます。優秀なエンジニアほど複数の企業から並行してアプローチされており、選考スピードが遅ければその間に他社に決まってしまいます。

また、選考プロセスで自社の魅力を伝えられなければ、候補者の志望度は上がらないまま辞退につながります。採用活動のクオリティを高めても、候補者が複数の選択肢を持っているという市場の構造は変わらないため、辞退リスクは常に残ります。

入社後に活躍できない

採用できたとしても、入社後に期待した成果を発揮できないケースも少なくありません。採用段階でのターゲット設定の曖昧さ、入社後の役割や期待値の伝達不足、受け入れ体制の不備などが重なると、活躍につながらないまま早期離職に至ることもあります。

マンパワーグループの調査では、8割超の人事担当者が新卒採用後のミスマッチを経験しており、そのうち6割が新入社員の早期退職を経験しているという結果が示されています※3。採用は内定がゴールではなく、入社後の活躍まで見据えて設計する必要があります。

採用だけでは解決できない理由

ここまで挙げた課題の多くは、採用活動そのものを改善するだけでは根本的な解決に至らないものを含んでいます。

技術責任者の関与が不足している

採用を人事部門だけが進めると、求める技術要件の解像度が低くなりやすく、面接での技術評価も甘くなります。CTOやVPoE、テックリードが採用プロセスに関与することで、要件の精度と選考の質が上がります。採用活動は人事の仕事という前提を変え、技術責任者が採用の設計段階から関わる体制にすることが、まず必要な前提です。

必要な人材像が曖昧になっている

「即戦力のエンジニアが欲しい」という要望は、採用要件として機能しません。自社の技術戦略に照らして、どのフェーズに、どの技術領域で、どの程度の専門性を持つ人材が必要かを具体的に定義できていなければ、採用活動の方向性そのものがぶれてしまいます。採用要件の設計は、採用担当者ではなく技術責任者が主導すべき仕事です。

人材供給を採用だけで考えている

採用に全てを頼ろうとすると、採用市場という単一の供給源の制約をそのまま受け続けることになります。社内育成、外部パートナーの活用、海外人材の確保など、複数の手段を組み合わせて人材供給を設計するという発想が、採用難という構造的な課題を乗り越えるための前提になります。

技術責任者や経営層が考えるべき採用戦略

エンジニア採用の課題を本質的に改善するには、採用活動の枠を超えた視点が必要です。

技術戦略から採用要件を設計する

採用要件は、「採用市場に誰がいるか」ではなく、「技術戦略を実行するために何が必要か」を出発点にして設計すべきものです。今後実現したい技術ロードマップや開発体制から逆算して、どの技術領域にどのような人材が必要かを具体的に定義することで、採用活動の方向性が定まります。

育成・外部活用も含めて考える

全てのポジションを採用で埋めようとすると、採用市場の競争に追われ続けることになります。競争優位性を生むコアな領域は内製で確保しつつ、スピードが必要な領域や専門性が高い領域は外部パートナーや海外人材で補完するという役割分担を設計することで、採用活動の優先順位も明確になります。

継続的な人材供給を設計する

単発の採用活動ではなく、技術戦略の実行を継続的に支えられる人材供給の仕組みを持つことが、採用難の時代における本質的な対策です。採用・育成・外部活用・海外人材という複数の手段を組み合わせ、事業のフェーズに応じて柔軟に見直せる体制を設計することが、技術責任者が担うべき人材戦略の核心になります。

まとめ

エンジニア採用の課題は、母集団形成から入社後の活躍まで多岐にわたりますが、採用活動の改善だけでは解消しにくい構造的な問題を含んでいます。技術戦略から採用要件を設計し、育成・外部活用・海外人材を組み合わせた継続的な人材供給の仕組みを持つことが、採用難の時代に求められる人材戦略です。